ホーム現場管理ガイド大規模修繕の工程表の作り方

マンション大規模修繕の工程表の作り方工事の順序・工区割り・居住者対応

大規模修繕の工程表は、工事の順番表であると同時に、数百世帯の生活への予告です。両方を1枚で成立させる作り方をまとめます。

標準的な工事の順序

細部は物件で変わりますが、12〜14年周期の一般的な大規模修繕なら、大きな流れはほぼ共通です。

段階主な作業工程上の注意
仮設足場架設・養生・仮設事務所足場のある期間がすべての外壁作業の締切になる
調査・下地補修打診調査、ひび割れ・浮きの補修数量が確定するのはここ。実数精算の起点
シーリング既存撤去・打ち替え撤去前写真は撮り直し不可。塗装より先行
外壁・タイル洗浄、外壁塗装またはタイル補修下塗り・中塗り・上塗りの層ごとに記録
鉄部・その他塗装手すり・扉・配管などの塗装外壁と並行しやすいが、乾燥時間で干渉する
防水屋上・バルコニー・廊下の防水バルコニーは居住者立入の調整が必須
検査・手直し社内検査、コンサル・管理組合検査足場解体前に外壁面の指摘を消し込む
足場解体・外構足場払い、1階まわり・外構の仕上げ解体後は外壁に戻れない。未撮影もここが最終ゲート

ポイント

工程表の骨格は「足場がある期間に、外壁でやることを全部終わらせる」の一点から逆算すると素直に決まります。 検査・手直し・写真の最終確認まで、足場解体の前に置くのが原則です。

工区割り:号棟・面で分けて回す

全面を一斉に進める現場はありません。足場・職人の人数・居住者影響を平準化するため、 建物を号棟・面(東西南北)・層で工区に割り、工種を順番に回します。 A棟南面でシーリング、そのころB棟東面は下地補修、という進め方です。

工区割りの実務ポイント

工区の単位は、あとで出てくる書類の単位と揃えます。 出来高の報告も、写真の整理も、居住者への掲示も、すべて「どの工区が終わったか」で語るからです。 とくに出来高請求は工区ごとの進捗をそのまま金額に換算するので、 工程表の工区割りが請求の単位になります (出来高請求のやり方(ProcMana))。 工区の名前が工程表・写真・報告書でバラバラだと、突き合わせのたびに翻訳が要ります (写真整理のガイドで触れた3軸の話と同じです)。

よくある失敗

雨天予備日を入れない

塗装・防水・シーリングはすべて天候に縛られます。予備日ゼロの工程表は、最初の雨で全体が後ろへずれ、 以後ずっと「遅れの説明」に追われることになります。月に数日、天候予備を最初から見込みます。

居住者対応を工程に載せる

大規模修繕が新築の現場と決定的に違うのは、工事の全期間、建物に人が住んでいることです。 工程表には工事の順番だけでなく、生活への影響の予告を載せる必要があります。

工程居住者への影響案内のタイミング
足場架設窓の開閉制限、防犯面の注意、駐車場の一部使用着工前の説明会+直前掲示
洗浄・塗装洗濯物が干せない、窓を開けられない該当工区へ数日前に掲示・投函
バルコニー防水バルコニーの物の撤去、立入日程の調整2週間前には個別案内。不在世帯の追いかけが必要
シーリング・塗装乾燥臭気敏感な世帯には個別に配慮
足場解体騒音、駐車場の一時移動直前掲示

トラブルの大半は「聞いていない」から始まります。逆に、掲示と投函が工程どおりに出ている現場は、 多少の騒音や臭気でも苦情になりにくい。案内の発行を工程表上の作業として扱い、 「A棟南面 洗浄の3日前=案内投函日」のように工事とセットで動かします。

作成の手順

  1. 1

    全体工程を月単位で引く

    仮設から解体までの大枠を、契約工期と天候予備込みで置きます。ここは受注時の実施計画がベースです。

  2. 2

    建物を工区に割る

    号棟・面・層で分け、名前を決めます。この名前が以後、写真・報告・掲示すべての共通言語になります。

  3. 3

    工区×工種で週単位の詳細工程に落とす

    シーリング→塗装のような工種間の順序と、乾燥時間などの待ちを織り込みます。職人の人数から1工区あたりの日数を出します。

  4. 4

    居住者案内と検査を工程に書き込む

    バルコニー立入の案内日、洗濯物NG期間、コンサル検査、足場解体前の最終確認。工事以外の締切も同じ表に載せ、担当を決めます。

  5. 5

    週次で実績を戻して更新する

    工程表は作った日から古くなります。週に一度、実績と天候を反映して引き直し、遅れた工区がどこへ影響するかをその週のうちに判断します。

工程表を「書類の親」にする

工程表を予定の管理だけに使うのはもったいない話です。よく見ると、現場の書類はほとんど工程表から生まれています。

撮るべき写真の一覧は工区×工程そのもの(撮り忘れ防止のガイド)。 月次報告は工区ごとの進捗の集計。居住者への掲示は工程の予告。作業日報は工程の実績です。 そして工区ごとの進捗は、そのまま出来高請求の根拠にもなります。 つまり工程表を起点に各書類がつながっていれば、同じ情報を何度も書き写す作業が消えます。

逆に工程表・写真・報告書が別々のファイルで生きていると、直すたびに3か所の転記が発生し、 どれかが必ず古くなります。工程表を親にして、他の書類がそこから生成される形へ寄せていくのが、 現場事務を軽くする一番の近道です。

ProcNova

ここまでの仕組みを、工程表を作るだけで。

撮るべき写真は工程から自動で決まり、撮った瞬間に工程へ入ります。 未撮影は常に一覧で見え、足場を払う前に気づけます。

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